コイズミ照明株式会社
開発部 設計室
志村 竜男

ユーザのための徹底した“品質重視”を貫きながら
“_違う発想”に挑む開発の最前線。

■どんなお仕事をしているか教えてください。
志村:
コイズミ照明オリジナル製品の設計を行っています。
いまは住宅用のシーリングライトのユニットの設計をしています。
ユニットというのはシャーシと呼ばれる本体や、電源ボックス、光源のカバーなど一式の総称です。

■設計の仕事は楽しいですか?
志村:
ド直球ですね。
正直にいうと苦しいことはたくさんあります。でも、やり甲斐がある仕事というのが、やっぱり楽しさに繋がるのだと思います。設計はこのやり甲斐の塊みたいな仕事です。

■苦しいことが一杯でも楽しい?
志村:
確かに苦しいです。特に「産みの苦しみ」って言うんでしょうか。何をしていても構造のことを考えてしまったり。設計は答えがひとつではありません。だから、いつもいろんなアプローチを模索しなければなりません。今やっていることが本当に100%良いのかっていうと、絶対にそうじゃない。じゃあ何を最善として進むべきなのかとか。突き詰めていくと毎日苦しいところはありますね。

■日常、どこにいても考えますよね。
志村:
トイレでも考えますね。特に構造の設計をやってると、可動部の所とかなんですけど、何かいいアイディアはないかと。それで前に見つけたのがトイレの窓枠の扉なんですけれども、固定している構造はどうなっているのか気になってしまって。で、詳しく見て「なるほどなー」と納得したわけですが、いじっているうちに半分空いてしまっていたようなんですね。そんななか、たまたま奥さんがトイレに入って「窓が開いてた! なんかおかしいで!?」と言われて。ごめんそれ僕見てたんや……って。そのくらい生活の中でも「考える」ことが当たり前になっています。

■学校を終えてそのまま就職ですか?
志村:
はい。大学を卒業して、そのままコイズミ照明に入社しました。高校も大学も機械系でした。父が機械科出身で、建設車輌機械の修理士をやっていまして。やっぱりものすごく影響を受けて育ちました。

■機械工学から来た方なら、もっと機械チックなものというか、動くものとか、そういった方向に行きたいとは考えませんでしたか?
志村:
そうですね。元々ものづくりをしたいという気持ちがあったと思います。先程もお話したとおり、父の影響で設計的なことがやってみたいと思っていましたが、その一方でインテリアにも興味を持ち始めました。このインテリアへの興味と、ものづくりへの思いから照明やそれらの設計に関わりたいと思いました。

■志村さんは最初からコイズミ照明や小泉産業グループをご存知でしたか?
志村:
いいえ、全然知りませんでした。リクルート担当の方が説明会をしてくださって、そのときに興味を持ちました。その説明会で聞いた会社の雰囲気や先輩方の様子に惹かれたんだと思います。楽しくて、風通しが良くて。そしてやっぱり「チャレンジが出来る」ということがポイントでした。

■企業だと「チャレンジ」という言葉がよく聞かれます。「ウチは何でもチャレンジさせる」とか。KOIZUMIさんは実際に入ってみていかがでしたか?
志村:
実際……やっぱり、顧客目線でモノ造りを考えたときに安全性や品質面へのこだわりはすごいなと思いましたね。設計者としては、コスト追求も当然ですが、やはり品質第一を意識して設計しています。

■たとえばどんな点ですか?
志村:
たとえばですか。んー、色々ありますが…他社が樹脂を使用している部品でも、金属を使用している部品があります。たとえば経年劣化を想定した場合、長期的に負荷が加わる箇所には必ず金属を使いますね。樹脂の場合、温度や湿度、紫外線などの外乱による劣化で変形・割れの発生が考えられるからです。また、充電部を覆う部品についても同様に金属を使用しますね。電子部品等に以上発熱が生じた場合に、樹脂だと熱的に弱い部品になりますが、金属だと熱的にも強いので、より安全です。
とはいえ、他社では樹脂を使っているのも事実です。樹脂が素材として悪いものではなく、より安全性を高めるためにKOIZUMIとしてこだわりを持ったものづくりをしているということですね。「他社がやっているからうちも…」というわけにはいきません。

■なぜそこまで許可が出ないのでしょうか?
志村:
やはり品質第一ということが前提なんです。顧客目線で考えたときに、お客様にも長期にわたって安全にご使用いただくためにも、材料選定・長期使用を想定した安全性の検証が必要になりますね。

■それは、安全性が実証できていないという意味ですか?
志村:
そうですね。落下事故や破損で誰かが怪我をしてしまうわけですから。より慎重な材料選定や機械設計が要求されますね。
仮に検証結果が良好で、信頼性・安全性が高い部材だとしても、すぐの採用は難しいかと思います。より過酷な環境下での使用を想定して、自社内でもライフ試験を実施して、問題がなければ初めて製品としてリリースされます。

■でも、他社は使っているわけですよね。
志村:
そうですね。他社でどのような検証をして信頼性を担保しているのか気になりますが…設計者としては色々な検証を重ねた上で、より安全・安価な材料の選定、機械設計を追求していきたいですね。もちろん、顧客視点を忘れずに。

■KOIZUMIブランドはそこまで安全性に重きを置いているということですか。
志村:
そうですね。そうだと思います。すごいですよ。他社と比べても明らかに慎重だと思います。たとえばさっき申し上げたとおり他社では樹脂を使っている部品。ウチでは板金を使っていたり、取説に「ここまで書くか?」というところまで結構書き込んであったり、器具に貼るシールの内容についても非常に細かいです。

■例えばスマホなどでもマニュアルをつけないことが多くなってきていると思います。そういう時流とは真逆ですよね。これはなぜだとお思いですか?
志村:
たとえば海外ブランドの量販店で家具を買っても、マニュアルに絵しか書いてないケースがよくあります。照明器具なんて組み立てることもないので、もっと簡素化出来るんじゃないの? と思うんですけど……やっぱりKOIZUMIブランドの品質の高さじゃないですかね。ウチの製品をご購入いただいたお客様に、安全にご使用いただくためにも、表記内容は重要ですからね。
ものづくりをしている以上は、お客様に「買ってよかった」「またKOIZUMIにしよう」と思っていただける製品を開発したいですよね。それがきっと、設計者としてのやりがいなんだと思います。

■そうすると、非常に慎重な開発を行っていると想像されます。自分から提案するケースというのは多いんでしょうか。
志村:
それなりにありますよ。来期は私が所属している設計室からの「設計室提案」というのをやりたいねという話は上がっています。せっかく設計をやっているわけですからね。顧客視点と設計力を併せて新しい企画を提案して、ものづくりにチャレンジしたいですね。

■この会社に入ってみて、面白いですか?
志村:
面白いですよ。自分が携わった商品が、たとえば住宅の庭先についているのを見かけることもあります。大手量販店に行ったときに、自分が関わったものが売られていたりもします。そういうとき、やっぱり嬉しいんですよ。すぐ奥さんに自慢しちゃいますね。

■奥さんに!
志村:
これイケてる照明だって言っちゃいますね。わはは。

■でも、自分で関わるとそうですよね。
いま、志村さんは入社7年目ということですから……
志村:
2011年入社ですね。
人事室・石田:
私が初めて採用に関わったときの子ですね。
志村:
KOIZUMIの魅力を切々と語っていただきました。

■先程の「会社の雰囲気や先輩の様子」というのは……
志村:
はい、石田さんです。
石田:
たっぷり話しました♡

■今回の採用では「もっと専門性をもった人材を」という話もあるのですが、学生のときから機械や設計に関わってきた、一番喜びになるところって何ですか?
志村:
ものづくりをしていて、嬉しいタイミングというのは、先程申し上げた市場に出たものと再会したとき、というのはあります。
でも、実は一番うれしいのは、試作品が上がってきたときですね。絵を描いてみて、それが図面からモノになる瞬間というのがもう、最初に嬉しくなるポイントですね。

■予想と違うこともありますか?
志村:
ありますね。やっぱり。ひとつだけ造っているわけじゃなく、換互パーツなんかも造っていますから。組み合わせたときに「ここ硬いな」とか。穴開けるの忘れてたーとか。 ビス締めようとおもったらその先で部品があって当たっちゃうとか。
まあそれを確かめるための試作品なんですけどね。
でもありましたよ。後からひたすらボール盤で穴開けていたとか。

■一番最初に造ったものを覚えていますか。
志村:
一番最初ですか。最初に造ったものは……スポットライトですね。そのときは入社して1年目の開発室のときでした。
その当時は先輩社員の方や協力会社の方々に、材料のことや成形方法、組み立て方とかを教わりながら開発サポートをしていましたね。
設計室にこもりっぱなしの日もありました。その時の経験が、今の設計に役立っていると思いますね。
それでもまだ知らないことや、分からないことがたくさんあります。
協力会社の方々や、室のメンバーにアドバイスをいただきながら設計業務に励んでいます。やっぱり設計って一通りではないというか…色々な方の意見を取り入れることが重要ですよね。特に、製造現場の方々には迷惑をかけたくないので、組み立てやすい構造が何かを考えながら設計をしていますね。

■設計室に移ったのはいつですか?
志村:
移ったのは去年ですね。配属が決まったときに「やっと自分で設計ができる!」って喜んだのを覚えています。自分が描いた線が、形になって、製品としてお客様に使っていただけるなんて…なかなか味わえない喜びですよね。
設計担当としては、自社で設計しているから生まれる固有の技術だとか、そういったところの強化をしていきたいですね。自社設計の強みを伸ばしたいんです。それから独自の技術開発も目標ですね。
とはいえ、自分の設計した構造や提案が、すんなり通るわけではないですけどね…。
こんな具合ですから、産みの苦しみは大きいと思います。
でも、今のところ、これまでの業務を振り返って「楽しくない」と感じたことはありません。やっぱり仕事が終わってみて「苦しかった」だけでは良くないはずなんです。振り返ってみて「楽しかった」って思えるのは、当然苦しさも多いんですが、いいものもできているんでしょうね。

■たとえば、先程の提案のお話のように自分の意見が通らないこともあると思います。
志村:
ありますね。ムッとしますよ。設計担当としてのプライドもありますしね。でも、先ほど申し上げた通り、設計には色々な意見が必要だと思います。どれだけ多くの意見を聞いて、取り入れることができるかは、設計者の手腕にかかっているんだと思います。
もちろん否定的な意見も出ますが、その時は「こうしたらどう?」といった意見もいただけるので参考にしていますね。
あとは、すぐに図面には着手せず、色々な構想を頭の中で考えますね。
頭の中で考えて、スケッチをしてみて、構造的に成り立つかを整理するようにしています。
アイディアが思いつかない時は本当に苦しいですよね。寝ても覚めても考えてしまうので…。
でも、悩み抜いて出来た製品は、やっぱり愛着がわきますよね。

■つまり、自分で考えて乗り越えることを求められているということでしょうか。
志村:
それだけではないですけどね。チームとして乗り越えたこともたくさんあります。

■やはり製品化までは色々なハードルがあるんですね。これまでに、志村さんのアイディアで、すべてのハードルを突破して製品化までたどり着けたものはありますか?
志村:
んー、あ、ありますね。エクステリアの器具なんですけど、今までにない形での可動構造や防水構造を提案して、2017年に製品化することができました。
製品化が決まるまでには色々な難関があります。
試作評価のなかで、様々な検証を行います。
その上で責任者の方々がさまざまなジャッジを行います。これを突破すれば製品化されるんですけど、着想から製品化に至るまでが本当に長い道のりで…目標を突破できたときは嬉しかったですね。
この商品の中には水を止めるためのパッキンが入っているんですけど、従来品は可動部を動かすとパッキンが擦れてすり減っていってしまっていたんですね。
じゃあどこが当たっているのか、とか。
どうしたら擦れなくなるのか、とか。
いろいろ検証していった結果、ちゃんと動くし水も止められるし、というところまでたどり着けたわけです。

■一番妥協できない部門、ですね。
志村:
そうなんですよ。でも、ウチの会社の利益に直結する部門ですからね。誰も甘くしてくれないし、誰も手を抜いてくれません。まあ当然なんですけどね。
今やってるシーリングライトの設計でいうと、物凄く安く作らなければなりません。たとえば材料だけでなく、組み立て的にどうなのとかと。
たとえば組立工程で30秒でもコストを下げるためにどういう構造をとるべきか、という点を今年のテーマとしてやっています。
組み立てやすかった器具が組みにくい構造になったら、製造ラインのスタッフから石投げられると思います。
販売数が非常に多い器具なので、1円でもコストダウンできれば大きな利益が出るんですよ。
部品のコストもそうですけど、組み立てコストもやはり考えていかなければならないんです。
1分早くすれば幾ら下がる、という世界なんです。だからこそ厳しく詰めていっていますよね。
こういうところに後輩を呼ぶわけですから、後輩には色々と教えていきたいですね。

■後輩を呼びにくいと思いますか?
志村:
んー、僕は楽しいので「お勧め」だと言うことができます。ぜひ来てほしいですね。猫の手も借りたい状況ですし。
活躍のチャンスもあると思いますけど、それよりもまず「自分の発想をダイレクトに形にできる」のが最高だと思います。他の仕事ではあまりないと思いますが、設計では一本一本線を引いたら、それらがすべて形になって帰ってきます。頭の中で形が組めて、この楽しさを知ったら病みつきになると思いますよ。
僕は奥様大好きなので、製品がリリースされたらすぐに話します。奥さんが話しを訊いてくれるのも嬉しいですね。
こんな感じで、KOIZUMIは……特に設計室はモノづくりの楽しさと苦しさ両方をまるごと感じる事ができる場所です。自分の発想が形になる楽しさって特別ですよ。学生さんは、いろんな発想ができる年代だと思います。将来、そうしたアイディアを一緒に形にできたら嬉しいですね。皆さんにお会いできるのを心から楽しみにしています。